犬の「狼爪(ろうそう)」というものを知っていますか?犬の足を観察してみてください。地面と接している指の数は4本ですが、実は犬の前足には5本の指がついています。
4本の指から離れた位置に、人で例えると親指にあたるもう一本の指があるのですが、それを狼爪といいます。「狼爪が無い!」「前足は5本あるけど、後足は4本しか見つからない!」など不安に思われた飼い主さんがいるかもしれません。狼爪について詳しくまとめました。
犬の指は何本?
人間は手も足も5本ずつ指がありますが、犬は前足に5本ずつ、後足に4本ずつとなっています。前足と後足の狼爪についてそれぞれまとめました。
1. 犬の前足の指
前足には地面に接する指が4本と、地面に接することがない離れた場所に指が1本あり、離れた場所の爪の生えた指が「狼爪(ろうそう)」といいます。
ブリーダーによっては、生まれてすぐに狼爪を切除してしまうこともあります。
2. 犬の後足の指
後足には指が4本あります。後足の指が4本なのは、狼爪が退化して消滅してしまったからです。
もともとは犬の後足の指も5本でした。現在でも稀に後足に狼爪を持って生まれることもありますが、奇形というわけではないので心配する必要はありません。
また、遺伝によっては指の本数が通常の本数よりも多い状態で生まれてくることもあります。犬の生活に支障がなければ特に治療をする必要はありません。ブリーダーによっては生まれてすぐに切除していることもあります。
生まれてすぐに狼爪を切除する理由
犬種や血統によっては狼爪が後足にも生えることがあります。それを先祖かえりと呼んでいます。ブリーダーの判断によって狼爪は切除されることがあります。
基本的には生後一週間以内の手術が子犬に負担が少ないとされていますが、手術方法は獣医師によって違います。成犬になってから手術することも可能ですが、麻酔手術は犬の身体の負担になるので避妊手術や病気で麻酔を使用する手術の時に一緒に切除することになります。
狼爪を切除する理由をまとめました。
1. 犬種スタンダードのため
日本にはJKC(日本ケネルクラブ)による繁殖指針となる犬種標準があります。
犬種の標準においては、原則後足の狼爪は無いものであるとされています。犬種標準に合わせることをブリーダーが選択した場合、ブリーダーまたはブリーダーに依頼された獣医によって切除が行われます。
狼爪を2本ずつ(指は6本ある)持って生まれる犬種があり、それをスタンダートとして望ましい姿とされる犬種がいます。ブリアード、グレートピレニーズです。
2. ケガ防止のため
狼爪を何かに引っかけて、爪や指が折れるなどのリスクを減らすために切除するブリーダーや飼い主がいます。
狼爪の正しいケアについて
毛が長い犬種は狼爪がかくれてしまい、探さないと分からないことがあります。狼爪は放置しないで正しいケアが大切です。狼爪のケアについてまとめました。
1. 狼爪の伸びすぎに注意
狼爪は他の爪と違い地面につかないので削れることがなく伸び続けてしまいます。犬の爪は放っておくと内側に曲がりひどい巻き爪になってしまいます。
悪化すると犬が爪や足を噛む、爪が皮膚に食い込み出血や腫れができる、カーペットや服に引っ掛かり根本から折れる、など様々なケガに繋がります。
2. 狼爪の切り方
爪を切る目安は月に1度ですが、犬によって爪が伸びる速さは変わります。基本的に切り方は他の爪を切る時と同じです。
自宅でのケアが難しい時は、無理をせずにトリミングサロンや動物病院などでお願いしてみましょう。
まとめ
愛犬の手に触れ、指は何本あるか、狼爪はついているか、ぜひ観察してみてください。
狼爪の存在を知り、狼爪がある場合は爪が伸びっぱなしになってケガをさせてしまわないように気を付けてあげましょう。