犬の早食いとは、食べ始めると休むことなくガツガツと数秒で丸飲みして食べ終わる食べ方のことを言います。かつては野生で肉食だった犬の歯は、肉を引きちぎるために必要な歯の形状になっています。そのために食べ物をゆっくり噛んですりつぶす形状ではないので早食いになりがちです。
また、野生の世界では食べ物を毎日口にできる保証がないので、獲物を捕らえた時にたくさん食べる必要があったことから、早食いが本能行動として今でも残っていると考えられます。
しかし、人間と同じで犬の早食いには様々なリスクがあります。早食いが犬に与えるリスクと早食いの改善方法をまとめました。
犬の早食いのリスク
現代において犬が食べることの多いドライのドッグフードは、様々な栄養素が含まれていて優れています。しかし犬が野生だった頃に食べていた新鮮な生肉と比べると消化吸収において劣り、それは現代食の早食いに影響を及ぼします。犬が早食いすることによるリスクをまとめました。
1. 嘔吐・窒息
ガツガツと早食いをすると、胃が驚いて食べた後にすぐ吐いてしまうことがあります。吐くことで胃酸が逆流し、食道炎などの病気に繋がる可能性もあります。
また、一気にたくさん食べて丸飲みすることによって、喉が詰まって呼吸ができなくなる可能性があります。
2. 誤えん性肺炎
急いで食べることによって、食べ物が食道ではなく気管に入り込むことがあります。それを誤えんといいます。
気道に入った食べ物や口の中の細菌が原因で誤えん性肺炎を引き起こすことがあります。特にシニア犬になると、食べ物を飲み込む際に気管をふさぐ「喉頭蓋（こうとうがい）」の働きが低下するため誤えんのリスクが高くなります。
3. 胃拡張
早食いにより、胃の中に食べ物と同時に空気をたくさん飲み込むことで、胃が大きく拡張することがあります。胃が拡張すると、食べ物が胃にとどまり腹痛や嘔吐につながります。
ドライフードを食べた後に大量の水を飲んだ場合も胃拡張になります。胸が縦に長い犬種や胃の機能が低下したシニア犬は特に注意が必要です。
4. 胃捻転（いねんてん）
胃捻転（いねんてん）の原因は明確にはされていませんが、激しい運動の後に食事をしたり、食事の後に激しい運動をすることで、胃の中にガスがたまり胃が膨れ上がりねじれてしまう病気です。
血液が循環しなくなったり、膨らんだ胃が周りの臓器を圧迫するため、すぐに手術が必要になるとても危険な病気です。早食いの後の運動が原因だと考えられているので注意しましょう。
5. 肥満
食べ物がそこにあれば、満腹感を得る前に犬はどんどん食べ続けてしまいます。食べ過ぎて肥満になると、様々な病気になるリスクが高くなるので注意が必要です。
犬の早食いの改善方法
食べる速度や食べ物に対する執着を変えることは簡単ではないです。しかし様々な改善方法があるので試してみて犬に合う方法を見つけてみてください。
1. フードの与え方を変える
食事を小分けにする
一度の食事で３～４回に小分けにしてフードを与えることで、早食いしても少しずつ食事を摂ることができます。
小粒のフードを与える
大粒のドッグフードは喉につまる可能性を高めてしまう上に、消化不良の原因にもなってしまいます。小さなフードは口からこぼれやすく、一度にたくさん飲み込めません。
ふやかして与える
ドライフードの早食いは喉を詰まらせるリスクが高くなるので、ドッグフードに水や鶏肉のゆで汁を加えてふやかして与えます。水分の摂取量も増えるので良いです。
2. 食器を変える
早食い防止用の食器を使用する
食器の底が凹凸になっていたり口が入りにくい形状をした、早食い防止用の犬用食器があります。
食事をしにくくなるように設計されているので、食べるのに時間がかかります。しかし、毎日同じお皿だと、犬がコツを覚えて上手に食べるようになるので色々な形状の食器を用意しておくと良いです。
知育玩具を使う
コロコロと転がすことで中から少しずつ食べ物が出てくる知育玩具や、隠したフードを探しながら食べるマットの知育玩具などがあります。それらを使うことで早食い防止になります。
3. 環境を変える
落ち着いて食べられる環境を作る
多頭飼いの場合や、そういった環境で育った経験のある犬の場合、他の犬にフードを食べられてしまわないように急いで食べることがあります。
別々のお皿にするのはもちろんのこと、犬同士の距離を離してあげたり、別の部屋で食べさせるようにしてみるのも良いです。
食事量が足りているか見直す
食事量が足りておらず、空腹のため早食いになっていることもあります。
痩せすぎていないか、適正な体重か、獣医師に相談してみると良いです。
まとめ
犬の早食いは健康に悪い影響を与えるリスクが高いので注意が必要です。
早食いは犬の習性だからとそのまま見過ごさず、今一度愛犬の食べ方を見直してみてはいかがでしょうか。
