ワクチン接種で予防できる犬の感染症

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犬の予防接種はどのような感染症から愛犬を守ることができるのでしょうか。
予防接種には、接種が義務付けられているものと、飼い主が任意で行う予防接種があります。予防接種は基本的には年1回受ける必要があります。犬の予防接種について、予防できる感染症をまとめました。

犬の予防接種

犬の予防接種は大きく分けて2種類あります。
接種が義務付けられている「狂犬病予防接種と飼い主が任意で行うその他の感染予防接種混合ワクチンです。これらの予防接種がなぜ必要なのでしょうか。

予防接種の必要性
  • 犬を感染症から守る
  • 犬から人や犬に感染する「人獣共通感染症」を防止する

お出かけの際にドッグランやペットホテルなど、複数の動物が集まる施設を利用する場合、予防接種をしていないと利用ができない場合があります。

1. 狂犬病の予防接種

狂犬病について

狂犬病の予防接種は年に1回受けることが日本の法律で義務付けられています。
狂犬病は発症すると治療法はなくほぼ100%死に至ります。犬だけではなく猫やネズミ、そして人間など、ほとんど全ての哺乳類に感染する「人獣共通感染症」です。

日本国内での狂犬病発生事例は1957年以来なく、海外で感染して日本国内で発症した事例も1970年と2006年に各1例あるのみです。しかし、海外では狂犬病で亡くなる人が年間100人以上いる国もあります。海外から輸入された動物などが感染原因となる可能性もあります。

犬だけでなく人間やその他の哺乳類を守るためにも、必ず接種を受けなければいけません。

予防接種の受け方

狂犬病の予防接種はいつ受けるのでしょうか。狂犬病の予防接種は「自治体による集団接種」と「動物病院での個別接種」があります。
集団接種でも個別接種でも、予防接種をすると注射済票が交付されます。

(1) 自治体による集団接種

市町村に登録されている犬の鑑札情報に基づいて、飼い主に案内が送付されます
実施期間は4月~6月ですが地域ごとに日程が異なります。費用は3000円程度に設定されています。

(2) 動物病院での個別接種

集団接種に行かない場合(例えば集団接種の時期と接種サイクルの時期が異なる場合)は、動物病院で個別接種することができます。
費用は病院によって違います。集団接種よりも少し高いことが多いです。

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2. 混合ワクチンの予防接種

混合ワクチンについて

飼い主が任意で受ける感染症予防接種は一般的に「混合ワクチン」となります。混合ワクチンは組合せによって、2種混合から11種混合まで種類があります。8種混合以上は、犬レプトスピラ症の種類が追加となるのみです。

ワクチンは大きく2つに分類されます。致死率の高い感染症を防ぐために、全ての犬に接種するように勧告されているワクチンを「コアワクチンといいます。犬の生活環境によって接種を推奨されているワクチンを「ノンコアワクチンといいます。

分類感染症2種3種4種5種6種7種8種
コアワクチン犬ジステンバー
 〃犬伝染性肝炎
 〃犬アデノウイルス (II型)
 〃犬パルボウイルス
ノンコアワクチン犬パラインフルエンザ
 〃犬コロナウイルス
 〃犬レプトスピラ症 (1種)
 〃犬レプトスピラ症 (2種)

混合ワクチンで予防できる感染症

混合ワクチンで予防できる感染症は次のとおりです。

(1) 犬ジステンバー

犬ジステンバーは、ウイルス感染した犬の排泄物や飛沫物(目ヤニ、鼻水、唾液、排泄物、くしゃみなど)によって感染します。初期症状は、目ヤニ、鼻水、発熱、食欲の低下などで、重篤化すると麻痺やけいれんなどの症状が出ます。
ニホンオオカミの絶滅原因となった疾患として有名です。犬の致死率は50~90%と高く、発症すると有効な治療法はありません。完治しても、神経症状などの後遺症が出ることがあります。

(2) 犬伝染性肝炎

犬アデノウイルスI型の感染によっておこる伝染病で、感染した犬の鼻水や唾液、排泄物に接触することで感染します。嘔吐や発熱、下痢、腹痛などの症状が表れます。
軽症の場合は鼻水が出る程度ですが、重篤化すると肝臓の機能不全や低血糖に由来する神経症状が起こることがあります。また、回復しても半年以上尿中にウイルスを排出すると言われており、注意が必要です。

(3) 犬アデノウイルス(II型)

犬アデノウイルスII型は「犬伝染性喉頭気管炎」とも言われ、咳やくしゃみなど風邪に似た症状が出ます。
I型(犬伝染性肝炎)よりも症状が軽く致死率は低いとされていますが、他のウイルスや細菌との複合感染により重篤化する場合もあります。

(4) 犬パルボウイルス

ウイルス感染した犬の便や嘔吐物に接触して感染します。激しい下痢や嘔吐、発熱、脱水症状などが表れ、重症になると血便が出ることもあります。また、下痢や脱水の悪化によりショック症状を起こして死に至ることもあり、特に子犬の致死率が高くなっています。
また、妊娠中のメス犬が感染すると、流産や死産の原因になります。

(5) 犬パラインフルエンザ

犬パラインフルエンザは「ケンネルコフ」とも言われ、咳や発熱、鼻水などの重い風邪のような症状が出ます。
単独での致死率はあまり高くありせんが、他の感染症との複合感染で症状が重くなります。

(6) 犬コロナウイルス

ウイルス感染した犬の排泄物を舐めたりすることによって感染します。病原性は弱く、成犬の場合は感染してもほとんど症状が現れません。しかし、犬パルボウイルス感染症など、腸炎を引き起こすウイルスと複合感染すると重篤な状態になることがあります。

(7) 犬レプトスピラ症

病原性レプトスピラ菌に感染した動物(ネズミなど)の尿で汚染された土や水を口にしたり、また触れたりすることで感染します。症状が出ない場合や、腎炎や出血性胃腸炎になる場合けいれんや嘔吐、黄たんが出る場合などがあり、人間にも感染する「人獣共通感染症」です。

8種以上のワクチンは犬レプトスピラ症の血清型が追加になります。犬レプトスピラ症には250以上の血清型があり、混合ワクチンに入っている血清型は「イクテロヘモラジー」「カニコーラ」「ヘブドマディス」などがあります。

予防接種の受け方

混合ワクチン接種は動物病院にて個別接種を行います。費用は動物病院によって異なります。
2種混合で3000円~5000円程度7種以上になると7000円~10000円程度です。
ワクチン接種は病気の治療ではなく、健康な状態で行う予防行為なので、ほとんどの場合ペット保険の対象外です。

混合ワクチンによって作られる免疫はそのまま一生持続できるわけではありません。
一般的には生後1年まえの子犬期に3回、その後1年に1回継続して接種します。

まとめ

感染症は犬の身近なところに潜んでいます。しかし、何種類の混合ワクチンを接種すれば良いのかは、一概には決められません。様々な飼育環境によって、何を接種するのかを判断する必要があります。
感染して取り返しのつかないことになってしまう前にかかりつけの動物病院に相談しながら定期的に予防接種を受けましょう。

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