犬の「涙やけ」をご存じでしょうか。
犬の「涙やけ」は、目の周りが赤茶色に変色してしまう状態です。その部分に炎症が起こると、皮膚炎をわずらうことや、かゆみを伴う場合があります。私の愛犬も、片目だけ「涙やけ」が目立つようになりました。
犬の涙やけの原因や治療法、予防法についてまとめました。
涙やけの4つの原因
犬の涙やけは、目から涙があふれてしまうことによって起こります。
涙が出ることは自然な現象です。しかし、それが過剰分泌になると目の周りの毛に付着し、細菌を繁殖させてしまいます。また、涙の中のたんぱく質やミネラル成分が酸化して変色を起こすこともあります。涙やけの主な原因は次のとおりです。
1. アレルギーによるもの
アレルギーにより涙やけが起こることがあります。
犬のアレルギーは、食べ物やノミ、花粉などに対して起こります。アレルギーの主な症状は「皮膚炎」や「強いかゆみ」で、その症状が目の周りにでると結膜炎を引き起こし、涙の量が増えて涙やけが起こります。
2. まつ毛の生え方の問題
まぶたの裏側にまつ毛が生える「異所性睫毛(いしょせいしょうもう)」や、まつ毛が目に向かって生える「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」などによって、涙やけが起こることがあります。
まつ毛が目の表面に当たると、涙の量が増えて、涙やけを発症しやすくなります。
3. 鼻涙管の詰まり
鼻涙管(びるいかん:目から鼻に抜ける涙の通り道)が詰まることで涙やけを発症することがあります。
生まれつき涙せんの穴が無かったり、目から鼻に涙が抜ける道の鼻涙管が狭かったりすることで涙やけが起こりやすくなります。また、後天的に結膜炎やキズ、腫瘍(しゅよう)などの病気にかかり、鼻涙管が詰まることもあります。
4. 食事が体質に合っていない
普段、犬に食べさせているフードやおやつが原因で、涙やけが起こることがあります。
フード自体の品質が悪かったり、保存状態が悪く酸化したフードを食べたり、原料や添加物に対してアレルギー反応が出たりすることが考えられます。
添加物や体質に合わないたんぱく質は、涙管等に悪影響を及ぼす可能性があります。
目が大きい犬や、鼻が短い短頭種と呼ばれる犬は涙やけを起こしやすい犬種です。
その他の原因として以下のものがあります。
涙やけの治療方法
涙やけを発症している場合、動物病院で治療を受けます。動物病院での涙やけの主な治療法は次のとおりです。
1. アレルギー反応を抑える薬を投与
アレルギーが原因の場合は、薬の投与や食事の変更を行います。
花粉やハウスダストなど、環境的なものが原因のアレルギーの場合は、アレルギーを抑える薬を投与します。食事のアレルギーの場合は食事の変更によって涙やけが改善することがあります。
2. 原因となるまつ毛の除去
まつ毛の生え方によって涙やけが起こりやすくなっている場合は、まつ毛を除去します。角膜に接してしまうまつ毛を抜いたり、まつ毛の毛根を外科的に除去するなどの処置を行います。
3. 鼻涙管の洗浄
目から鼻に涙が抜ける道の鼻涙管が詰まることによって涙やけが起こっている場合は、目に細い管を入れて洗浄を行います(鼻涙管洗浄)。細菌感染がある場合は、抗生剤の点眼や内服薬を併用して治療します。
4. 目薬・内服薬で治療
涙の原因として、眼の痛みを伴う病気(角膜腫瘍・ブドウ膜炎・緑内障など)によって涙が出ている場合は、軽度であれば点眼や内服薬での治療を行います。しかし、眼の状態によっては、早急に眼の専門病院で治療や手術が必要になることもあります。
目の病気(眼瞼内反症:がんけんないはんしょう)の場合は、目頭切開などの手術によって内反を矯正します。
マイボーム腺の機能不全の場合は、 マイボーム腺からの脂の分泌を改善させるために、蒸しタオルで目を温める、目のマッサージ、抗生剤の投与などを行います。
涙やけの予防方法
涙やけは普段から意識することで予防することができます。
自宅でできる涙やけ予防法をまとめました。
適度な運動
適度な運動は涙やけの改善につながります。
運動量が不足すると新陳代謝が悪くなります。新陳代謝が悪くなると、体内に老廃物が溜まって涙やけを引き起こしやすくなります。朝夕の散歩など、適度な運動を行って、涙やけを発症しにくい体質づくりをしましょう。
生活環境の改善
花粉やハウスダストなどアレルギーの元となるものが存在する場合は、環境を改善することで涙やけを抑えることができます。
環境アレルギーによる涙やけを予防するために、定期的な掃除や空気清浄機の使用を実施することで効果が見込めます。
食事の見直し
食事内容の変更が涙やけの予防につながることがあります。
フードに含まれるたんぱく質の量や種類をコントロールする事で涙やけを引き起こしにくくなったケースがあります。低アレルゲンのフードに変えてあげる事で症状が改善されることがあります。
日々のお手入れ
涙やけの予防として、日々のお手入れが最も効果があります。コットンやガーゼを使って涙を優しくこまめにふき取りましょう。
毛がカピカピに固まっている場合は、まず濡らしたコットンやガーゼでふやかしましょう。その後、皮膚が引っ張られないように注意しながら細かい毛をクシでとかしながらほぐしましょう。
まとめ
涙やけはかゆみを伴ったり、皮膚炎をわずらうことがあります。
「○○をすれば涙やけが完全に消える」という方法は残念ながらありません。涙やけが気になったら自己判断でケアをせず、まずは動物病院に行きましょう。涙やけの原因を知って早期に対策を行うことが一番大切です。